2012年4月2日月曜日

大阪厚生年金病院 | 日本医療機能評価機構認定病院 | 地域医療支援病院


ご紹介

救急部の固定メンバーは現在、
救急外来担当部長ならびに外来師長各1名、
医師1名、
看護師2名、
夜間専従看護師17名
で構成されており、一日30?50名の救急患者さんの初診、初期診療を専門に行っています。
とくに夜間(詳細 1)は、軽症が多いものの日中の3~4倍の患者さんが来院されるため、救急、小児科、内科、産婦人科、整形外科、脳卒中、外科、ICU、循環器内科の9人が当直を勤めています。神経精神科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科口腔外科といった専門科も緊急時に限ってはオンコールが可能です。また当直技師や当直看護師により、緊急手術、血管造影、心臓カテーテル検査、レントゲン、CT、MRI-CT、血液検査なども、日中時間内に準じた水準を実現しています。このような大勢の当直体制は一般病院では稀であり、当院が社会貢献の一つとして救急医療をいかに重視してきたかを表していると思います。
 くわえて救急医療の一層の充実を図るため、平成16年10月より救急指導医1名が専従となり、本年4月にはさらに救急科専門医1名をメンバーに加えました。この機に救急科専門医指定施設(日本救急医学会が認定)を申請中であり、本年秋には名実ともに救急専門病院となる予定です。同時に救急部専従の看護師長が誕生し、合わせて専従看護師を3名配置したことで、診療システムの効率化が急速に進んでいます。


競技スポーツの負の効果は何ですか?

 現在、救急患者数(詳細 2)は年間10000名、救急車台数は3000台に達しており、依然増加の一途を辿っています。この実績は、地域住民の方々、地元医師会の先生方、周辺救急隊員の皆さんのご信頼の賜物ですが、それには以下のような理由が上げられると思います。
1)専門的な救急診療と多種類の専門科治療が1つの病院で同時に受けられる
2)昨今受け入れ先の少ない小児救急医療を積極的に行っている
3)重症、中等症以外に軽症の独歩患者さんをも受け入れている
、ということです。しかし一方ではこうした患者さんの増加に追いついていない面も徐々に目立つようになっています。

 そこで目下の切実なお願いもせねばなりません。一般に救急車で搬送される患者さんの90%以上は、当院のような2次救急指定施設に来院されます。そこへ上記のような理由により、救急車だけでなくご自身で来られる患者さんの急増しており、毎晩10台の救急車搬送があり、全体の2割程度の患者さんは入院されます。まずこれらの患者さんを最優先で診療するのが原則になっております。

 また救急室では、お電話や患者さんをじかに拝見し、緊急度を判断し診察順序を組み直す(これもトリアージです)作業を行っています。つまり必ずしも来院順に診察を行うことはできません。患者さんご自身は、重症で あればこそ時間外に病院を受診されるわけですが、止むなく長時間お待たせすることもあろうかと思います。これに対し夜間専従の看護師を増員(3名)はいたしましたものの、この状況を今もって解消するには至っておりません。この点については今後も可能な対策を進めてゆきますが、なにとぞ事情をお含みいただきますよう、ご容赦のほどよろしくお願いいたします。

特徴

研修医の皆さんへ


どのように濃度を向上させるには?

 今春より新卒研修医の卒後臨床研修の一環として、当院でも本格的に救急教育を開始しました。現在指導医(救急科専門医)2名の密着指導のもと、毎月研修医1名がローテートし、1ヶ月間の初期救急研修を受けています。研修医が学習すべき内容は厚労省よりすでに明示されており、これを参照すれば学習者、教育者が何をなすべきか(what)は明確です。しかし実際にどういった教育によりそれを習得できるのか(how)が、研修医の諸君にはぴんと来ないのではないかと思います。(卒後臨床研修オリエンテーション)

 私たちは、わずか1ヶ月の初期救急研修で習得できる事は限られており、それだけに救急でしかできない、焦点を絞った教育が必要と考えています。症候や疾患に対処するコツを指南しても意義は少なく、そうし� �ものは他の診療科で集中的に学ぶ方が適しています。またいかにも重篤に見える症例は誰にでもわかり、比較的容易にトリアージがなされ、入院か転送になりそれほど問題になりません。むしろ一見軽症に見えて実は重篤な病態の初期である症例を、軽症例の山の中から見つける方がずっと難しいし重要です。。
 そこで救急科専門医ではない皆さんは、
1)初診を行い、専門科医師もしくは高次施設へ患者さんを引き継ぐまでの間(以下、救急初期診療)を担当する能力
2)一見軽症に見えて、実は重篤である患者さんを見落とさない能力
の2つを身につけることが必要です。
ただ、2)のような症例は比較的稀で、1ヶ月の研修期間中にそうした患者さんを体験学習できる機会は限られているので、研修医合同の月例ケースカンファレンスや救急室でのミニシミュレーションを開催しています。


柔道の青帯を取得するどのくらいの時間がかかるん。

1)の救急初期診療は、
1 緊急性の認知、
2 救急のプライオリティー(primary survey)、
3 患者さんのマネージメント(帰宅、コンサルト、入院経過観察、転送など)の円滑な達成、
4 診療内容のプレゼンテーション、
5 診療録の記載、
の5つをとくに重視し、学習内容はこれらに限定しています。いかに軽症に見える患者さんでも、重症とまったく同じ診療過程を踏む習慣を身につけることが重要です。方法は、救急科専門医とともに主導的に救急初期診療を体験し、さまざまな臨床の問題を解決する手法(詳細3)を実地で学習することです。そのためのツールをさまざまに工夫し、マンツーマン指導を行っています。
 初めに「わずか1ヶ月の初期救急研修で習得できる事は限られており」と述べましたが、実は救急では1人の患者さんの診療の中に、実に多くの学習項目が溢れており、それを短時間でしかも繰り返し経験することができます。1ヶ月でおよそ150例(7割は救急車搬送)に対し、同じプロセスをひたすら繰り返すため、目に見えて初期診療に習熟してゆきます。諸君が救急研修を終えるとき、厚労省の指定した学習項目の大半が埋まることにあらためて驚くと思います。
 最後に、当救急部の研修を終了したある研修医の感想を、許可を得たのでそのまま掲載します。


はじめに、救急車の出迎え方、ABCDの聴取のしかたなど、最も基本的なことから教わることができたことが良かったように思います。(最初は、自分が何をすればいいのか、また、何をしてはいけないのかが何一つ分からなかったので)また、ひとつの症例の診療が終わるたびに、その都度先生から具体的な改善点などを指導していただけたことで、得るものが多かったように思います。
また、患者さんの主訴ごとにまとめられたマニュアルも研修をより効率の良いものにしていると思います。搬送連絡で患者さんの主訴を聞き、救急車が到着するまでの時間にマニュアルでこれからするべきこと、患者さんから聞くべきことを確認し、それに沿った診療を行い、直後に木村先生、堀川先生からの指導を受けることでその診療についてのフィードバックを行う…この繰り返しで、徐々に患者さんを前にして問題点を認識し、その原因を考え、必要な検査や診療を行う思考回路ができていったように思います。
我々研修医は、個々の疾患についての教科書的な知識は持ち合わせていても、一人の患者さんを目の前にしたときにそれらをどう使えばいいかがわからす、立ち尽くしてしまいます。患者さんの症状から、鑑別疾患を緊急性の高いものから考え、必要な処置、検査を順序だてて行う能力を身につけるためには、当院救急部のような研修が不可欠であると思います。ただ、そのための研修期間が1ヶ月では、少し短いと思います。私は5月のイントロ期間が救急部研修であったため偶然2ヶ月お世話になることができて、とても幸運でした。
ありがとうございました。(了)

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