2012年5月30日水曜日

レジメ:侘美光彦『世界大恐慌』その他(1): 雑感 ストリング


何年かまえにTVコマーシャルに使われてびっくりしたドノバン(Donovan)の「サンシャイン・スーパーマン」。その昔、17cm・33回転・片面2曲入りの、通称「コンパクト盤」で持ってた(他に「三羽のかわせみ」「魔女の季節」「グィナヴィーア」の3曲入り)。「プチョッ・プチョッ」ギターは、ミッキー・モスト繋がりでアニマルズのヒルトン・ヴアレンタインかといわれてたこともあったが、データによればジミーペイジだそうだ。

ちっぽけなシーンを手に入れようと
誰もがあくせくしてる。
でも「ぼくたちはクールに」と、ぼくが言ったら
きみには、その意味わかるよね。
ぼくたちは夕暮れに浜辺に立っていた
いつだったか、おもいだせるかい?
ぼくは知ってるよ、ベイビー
浜辺には終わりがないってことを。

----Donovan「Sunshine Superman」

このところの投稿に侘美光彦『世界大恐慌 -1929年恐慌の過程と原因-』(1994)を利用したものが多かったので、二〇〇四~二〇〇五年、某所での「侘美本まとめて読書会」用に作成したレジメの一部を。第三篇 「第一二章 原因」のあたり、全部で四回くらい。

レジメ「侘美光彦『世界大恐慌 -1929年恐慌の過程と原因-』」(1)

侘美光彦『世界大恐慌 -1929年恐慌の過程と原因-』
第三篇 「第一二章 原因」、レジメ

■■抜粋・要約■■


木は森になった場合

[1] アメリカ大恐慌の原因(915~[頁数])

■第一次大戦前における循環性恐慌の特徴と恐慌の定義

基本的原因は、「資本の絶対的過剰生産」(915)
「第一次大戦前における循環性恐慌の定義およびその歴史から見ると、1929年半ばから始まったアメリカの景気後退が、恐慌そのものであったこと」「この景気後退は決してたんなる不況ではなかった」(916)
「大不況」では「歴史分析ないし客観的分析として不適切」(916)

■好況の形態変化

①「好況期には「資本の絶対的過剰生産」が現れなかった」(918)
②「この好況期には、通常の好況期に必ず起こる著しい物価騰貴傾向がほとんど現れなかった」(919)
③「この好況期には、末期になっても全般的な金融逼迫は現れなかった」(920)

■ゆるやかな景気後退開始の原因

「そのような好況が、循環性好況と異なって、ゆるやかな景気後退に転じるのは当然であろう。むしろ問題は、中期から始まった相対的過剰生産、すなわち相対的需要不足が、いつ、どのような原因によって現実の景気下降に転換したのか」(920)
→(921)

■第1段階における需要減少の原因(922)


どのような典型的な一日は、中国のようなものです

アメリカ恐慌は「段階的に悪化した」
第1段階「株式恐慌発生から30年後期頃まで」。「社会的需要の減少、消費の減少」
第2段階「30年第4四半期ごろから31年9月ごろまで」。「最初の激しい縮小」、「最初の銀行恐慌」
第3段階「31年10月以降」。「連邦準備当局による激しい金融引締めがり、それによって銀行恐慌(第二次銀行恐慌)も、産業恐慌もさらに一段と激化」
第4段階「32年第4四半期から33年3月まで」。「貨幣恐慌を含む第三次銀行恐慌によって恐慌現象がもう一度激化」

「第1段階における需要の持続的減少の原因は、大企業による製品価格の下方硬直化政策および賃金率維持(ただし、抜け道をもった賃金率維持)政策にあり、それを、株価崩落を介す所得減少がさらに促進」(923)

■第2段階における投資激減の原因

「それでは、物価が下落し、賃金が減少したにもかかわらず、なぜ投資は回復しようとしなかったのであろうか」(924)

→供給面の変化(924~)
第1に大企業は「製品価格を相対的に硬直的に保つため」生産を意図的に削減→新規投資を意図的に削減。
第2に平均的か、それ以下の企業では生産性の上昇は充分達成されないが、実質賃金は上昇し続けた。「投資を増加させれば、かえって利潤率が下落することを意味したから、これらの企業は、投資の供給条件からしても、投資を縮小せざるをえなかった」(925)


ここで、キングスカレッジロンドンは、

■第2段階以降における銀行恐慌の原因

「三つの銀行恐慌に共通の原因として、まず産業恐慌の進行に伴う銀行資産の悪化があり、またその背後に、個人および企業による債務返済の困難の増大があったことが明らかであろう。そしてさらに、この債務返済の困難の原因を追求すると、物価・所得が急減したにもかかわらず29年水準の債務返済がほぼそのままに履行され続けたこと、いわゆるデッド・デフレーション(物価および貨幣賃金の下落による金融債務負担の急増がデフレ的に機能するという、いわゆるフィッシャー効果)が長期に持続したことが、基本的原因であったと考えられる」(928)

「第二次銀行恐慌では、このデッド・デフレーションの上に、連邦準備当局の金融引締めによって急速に強化された信用デフレーションが追加された」(928)

「最後の第三次銀行恐慌の原因は、第二次銀行恐慌と共通の原因の上に、通貨政策そのものの不手際が加重された」(929)

[2] 早期的世界景気後退および世界多角決済機構崩壊の原因(929~)

■早期的世界景気後退の原因

①「アメリカ恐慌発生前に、とくにアメリカ株式恐慌発生前に、なぜ世界の景気過程は後退しつつあったのか」
②「アメリカ恐慌発生後に、なぜ世界多角決済機構は崩壊したのか」


①の問題。
ドイツの景気後退。「第1に、この国の産業合理化が不徹底であり、その結果、内需が充分には喚起されなかった」。「第2に、絶対的な資金不足のために不可欠であった外資導入を企図して、最終的に・・・高金利政策が採用されたこと」(930)
「他方、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン、カナダ等における景気後退の原因は、総じて世界農業不況にあった」(930)

→それではこの「早期的世界景気後退を準備した世界農業不況の原因」は?
「第1に・・・先進工業国側における資本蓄積の停滞およびその好況の世界的非連動にあった」。第2に、「国際金融市場の構造が大きく変質」アメリカの対外投資も、イギリスの対外投資もかつての役割を果たさなくなった。(931-2)



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